2007年01月29日

007とシャンパン【From Russia, with love(ロシアより愛をこめて)】

From Russia, with love(ロシアより愛をこめて)1963年公開(日本での公開は1964年)

前回のDr.No(ドクター・ノオ)におけるシャンパンはドン・ペリニヨン(Dom Pérignon)でしたが、
この「ロシアより愛をこめて」ではテタンジェ(Taittinger)が登場します。

 

登場するのは右のテタンジェのブラン・ド・ブラン、オリエント急行の食堂車での有名なシーンです。

ジェームズ・ボンドとタチアナ・ロマノヴァ(ダニエラ・ビアンキ、素敵ですね{/ハート/})が
敵方のグラント(この時点では味方のナッシュ大尉に成り済ましている)と
食堂車でテーブルにつき、ウェイターに、

ボンド:ヒラメをもらおう。家内もだ、君は?
            I'll have grilled sole. And for Madam. What about you, Nash?
グラント:いいですね。じゃ、わたしも
           Yes, that sounds very nice. Make that three of those.
ボンド:それに白ワインを
            I'll have a bottle of Blanc de Blancs.
グラント:わたしはキャンティだ
            Make mine Chianti.
ウェイター:白ですか?
            White Chianti, monsieur?
グラント:いや、赤だ
            No, no. The red kind.

そして食後、客室へ戻ってグラントは正体を現すわけですが、その時にボンドは、
「魚に赤ワインか・・・うかつだった」
"Red wine with fish. That should have told me something."
というのがそのシーンです。

当時の英国では「魚に白、肉に赤」というセオリーが頑なに守られていたんでしょうね。
今でも基本は変わらないでしょうけど、もっと自由に選びますねよ。
一方で公開当時(1964年)の日本ではどうだったのでしょうか?

当時の状況を調べると、
ワインを飲んでいる人も少なく(注@)、海外旅行した方は稀で(注A)、海外旅行したとしても、
レストランへ行って高いワインやシャンパンなど飲める方は極めて稀であったと思われます(注B)。

このような状況から想像すると、ジェームズ・ボンドとグラントのやりとりをこの映画で見て
初めて“魚には白ワインを飲むものなんだ”と思った方も多かったのではないでしょうか?

そして、字幕では「白ワイン」になっていますが、実は頼んだものはシャンパンだったのです。
この、ジェーム・ボンドのオーダーしたBlanc de Blancsを「白ワイン」と字幕で訳したことは、
白と赤の対比を際立たせるナイスな訳ではないでしょうか。
シャンパンだとピンとこないし、ましてブラン・ド・ブランでは見当もつかなったでしょうね。

この場面では、テタンジェについてジェームズ・ボンドは何も言いませんが、
実は「カジノ・ロワイヤル」(原作)ではテタンジェ(Taittinger)について、
「これはあまり知られていない銘柄なんだ。」
「だが、おそらくこれが世界で一番うまいシャンパンだろうね。」
と語っているのです。


  

写真は Taittinger Comtes de Champagne Blanc de Blancs 1996 (某店で12,800円)
  通常、シャンパンはピノ・ノワールなどの黒ぶどうも使うのですが、ブラン・ド・ブランは白ぶどうのシャルドネ100%
まだ飲んでいないので味についてはノーコメント。だって、普通の日にはもったいないでしょ{/汗/}


ウェイターは何気なく聞いていますが、白のキャンティーってあるのでしょうか?

◆これは誤解
「ジェームズ・ボンドが、魚料理に赤ワインを頼んだナッシュ大尉(に扮するグラント)を味方ではないと見破った」

赤を頼んだグラントに一瞥を投げてはいますが、その時はそれだけで見破ってはいないのです。

グラントに銃を向けられてからジェームズ・ボンドは、
「魚に赤ワインか・・・うかつだった」というのです。
"Red wine with fish. That should have told me something."
いわゆる後の祭りということすね。
で、グラントに「酒に詳しくても貴様の負けさ」と言われちゃうわけです。
"You may know the right wines, but you're the one on your knees."

{/ひらめき/}
注@国税庁の統計資料から推測すると、日本におけるワインの消費量は現在の20分の1以下であったと思われる。
注A1964年に,海外観光旅行に対する波航制限緩和措置が講じられ,ようやく海外観光旅行への途が開かれた。
注B1969年に外貨持出制限額が700ドルに緩和された、ということは当時はそれ以下であった。(しかも1ドル=360円の時代)

posted by ロレンス at 23:43| 可視化テーマ(007) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする